【法律コラム】労働基準法と選挙

こんにちは。
福岡市早良区西新で弁護士をしている盛一也(もりかずや)です。

さて、本日7/20(日)は、第27回参議院議員通常選挙の投票日(※1)ですね。
なお、期日前投票は7/4(金)から19日(土)に行うことができました。

世の中的には知られていないですし、私も相談を受けたことはありませんが、労働者の権利として、
職務中に投票に行くことが労働基準法第7条により認められています(※2)

具体的には、次のように法律では定められています。
(公民権行使の保障)
第七条 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

手元にある、詳解労働法(水町勇一郎著)(※4)によれば、このような立法は、ドイツのワイマール憲法にならって制定されたようです。
論点になりそうな点としては、同条が、選挙権行使の時間中が有給なのか無給なのかという点があるようで、行政の見解では「遅刻、早退による
給与の差引を行わないよう関係各官庁から協力を依頼すること」旨の通知が出されたことがあるようです(※3)。
ただ、個人的には、平成15年12月1日から期日前投票制度に関する法律が施行せれているので(※5)、あえて勤務時間中に選挙権を行使する正当性が
認められるのかには関心がありますが、おそらくこのような点が裁判になる可能性は低いかもしれません。

その他にも、労働者が当選し議員になった際の普通解雇や懲戒解雇が問題になった裁判例が複数あるようですが、あまりにもマニアックなので、
本稿では取り扱いません。興味がある方は、前記詳解労働法などを参照し、また、裁判例の原典に当たられるとよいかもしれません。

本日はこれくらいに致します。

※1 https://www.soumu.go.jp/2025senkyo/
※2 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
※3 昭和42・1・20基発59号
※4 https://www.utp.or.jp/special/laelaw/
※5 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/touhyou/kijitsumae/index.html

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